2010年1月6日水曜日

ピーター・グルンワルド著 『アイ・ボディ』より引用

 アレクサンダー・テクニークやベイツ・メソッドなどを土台にして、オリジナルの視覚と脳の使い方のメソッドを確立したアレクサンダー教師のピーターの著書から引用します。






3ページより

 さて、みなさんを発見の旅にお連れする前に、お互いに確認しておくべきことがあります。まず、人間が最高に潜在意識を発揮できるのは、自分自身の本来の機能に干渉しないときであるというのが、私たちの立脚点であるということです。私たちには、自然に能力を発揮できるという仕組みが生まれつき備わっているのです。
 ここで私が使った「自然」が何を意味するのかというと、<自然と一致した>とか<自然の意図>といった意味であって、習慣に従うことを言っているのではありません。多くの人は、有益か有益でないかをかえりみることなく習慣に従っています。一見、習慣は<自然>なものであるように感じますが、実際はそうではないのです。非習慣的な習慣を変えるためには、自分が何をしており、どこを目指しているのかといったことについての気づきと理解が必要です。こういった見通しを持つということは、いかにして私たちがより効率的、効果的、全体的に機能できるかを理解することなのです。



46ページより

 脳とはすべての動きの発生装置です。考えもまた動きの一つです。考えはMRI(核磁気共鳴画像法)によるスキャン映像によって、実際に体を動かしているときと同じような電気化学的処理が脳でおこなわれていることが見えています。実際に体を動かすときと、ただ単に頭で考えるだけのときでも、脳内では同じようなはたらきが発生しているという研究結果が出されています。呼吸や消化、循環などのレベルの活動は、自律神経組織によってつかさどられており不随意的であると考えられています。私たちはこれらの機能をはたらかそうと意識しなくても、勝手に動いてくれているのです。
 私たちの動作の多くは、動作することを特に考えなくても起こせるものです。たとえば、歩くときに私は<ひざを曲げて、伸ばす>といったことを考えはしません。これは私の脳が、習慣として歩くということについて学習済みだからなのです。私の脳が私の歩きを調整してくれているので、私自身は、自分で歩くことについて考えている、といったことに気づくこともできないのです。これは車のラジオのチャンネルをプリセットしておくのと同じようなことなのです。プリセットされていれば、ラジオ局の周波数を覚えておく必要はありませんし、周波数を合わせるためにダイヤルを左右に回すといったことも必要ではなく、ただボタンを押しさえすれば聞きたい局にいくことができます。脳の中にはこのような歩きなれた小道(経路)が四通八達しており、そのおかげで私たちは、日常での活動のほとんどについて意識的に考えることもなく過ごせるのです。
 意識的に考えるということは、脳内に新たな経路を発生させる活動です。知的存在として、私たちには意識的に選択をして決定を下し、行動を方向付けるだけではなく、意思や考えをも方向づける能力がありますが、この能力が根底にあるからこそアイボディのワークが可能になったのです。アイボディの原理が適切に用いられていれば、私たちは自分たちの脳を意識的に一貫した方法で使うことができるようになります。



50ページより

 意識するしないにかかわらず、私たちはつねに自分自身を使っており、その使い方の質が機能の質に影響をあたえるという考えが、アレクサンダーの基本的原則の一つになっています。これが何を意味するかというと、私たちの立ち方や座り方、感情的な状況において習慣的にどのように反応するかということ、ものごとの考え方など、これらすべてが人生のすごし方に直接かかわってくるということなのです。

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